パワハラによるストレスと過労から過呼吸になり救急車で搬送され、パニック障害を発症したのが2018年の3月。現在も治療を続けていますが、2019年11月現在も完治には至らず薬物治療を続けています。
今回ブログに記すことを決めたのは、日常では、他の患者さんと触れ合う機会がなかなかないのと、他人に話しても分かってもらえない事が多く、もどかしい思いが強かったためです。微力ではありますが、パニック障害のリアルをお伝えして、誰かの助けに、または希望になれたら嬉しいなとおもい記事をのこします。
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パニック障害ってなに?
パニック障害とは、突然起こる激しい動悸や発汗、動悸、ふるえ、息苦しさ、胸部の不快感、めまいといった体の異常と共に、『このままでは死んでしまうのでは』というような強い不安感に襲われる病気です。 この発作は「パニック発作」といわれ、10分くらいから長くても1時間以内にはおさまります。
人により重度の程度はありますが、共通するのは、漠然とした不安、動悸、呼吸困難等でパニックに陥り、「倒れて死ぬのではないか?」などの恐怖感を覚えることです。手足の痺れや吐き気、胸部圧迫のような息苦しさなどがもありますが、それ自体が生命の危機につながるものではないので、過呼吸になり、救急車で病院へ運ばれても検査では『異常なし』と判断され、そのまま帰宅を促されることが多いのが実情です。
パニック障害って、どのくらい苦しいの?
- 息苦しさと吐き気
- このまま消えていくような感覚に襲われる
- 発狂、とんでもないことをしてしまうんじゃないか、という不安に襲われる
- 身体全体から血の気がすーっとひいていく
- 自分でもどうしていいかわからないくらい「怖い」
- 意識を失ってとんでもないことになるんじゃないか、恐怖に支配される
とくに閉鎖空間が怖く、電車、エレベーターなど、すぐに逃げ出せない場所では、動悸がしてきて、「自分がどうにかなっちゃうんじゃないか」という恐怖観念で目の前が真っ暗になるのです。この症状自体は大体30分ほどで治るのですが、一番困るのが「発作が起きていること」を周囲に言えないことです。
泣き出したい程辛い、大声で発狂したいくらい辛いのですが、それを他人の前でやると、それこそ周囲が大パニックを起こしかねない。なので必死で耐えるか、頓服を飲むかで症状がおさまるまでじっとしていることが殆どです。
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映画が怖い、観覧車も怖い、楽しかったものが恐怖に変わっていく
今まで楽しかった観覧車も、アトラクションも、シュノーケリングも、自分の意思で逃げ出せないところには怖くて行けない。一番悲しいのは映画にいけなくなってしまったこと。目が回るようなシーンやカメラワークが多く、脳と三半規管がかき回されるような感覚に陥り、いてもたってもいられなくなるのです。楽しかったものすべてが、怖くてたまらない、これがこの病気の切ないところでもあります。
発作が怖いので、生活範囲が狭まり、付き合いが減っていく
公共交通機関は発作が起きた時に逃げ出せないので、出来るだけ歩いて移動するようになりました。特に怖いのがタクシー、いちど真ん中の車線にはいったときに発作が起きて、道路脇に止めてもらうこともできず、発作が起きていることもいえず、手を血が出るくらいに握りしめてやり過ごしたことがあります。
そういったことが日々起きるので、結果として出掛ける回数が減っていきます。気持ちがどうこうより、まず物理的に身体が、心がついていけないのです。自分の家ですらうずくまって動けなくなり、家族に手を握ってもらってようやく落ち着く、ということもあります。
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仕事にいけない、収入に支障が出るケースも
否応ない通勤、決まった時間に出勤すること、逃れられないミーティング、バリバリ働くどころか、普通に仕事をすることすら困難になりました。どこにいても吐き気がするので、新鮮な空気をと外に近い場所で仕事をしたり、トイレにこもってパソコンを叩いていたりしていたのですが…..人事や部長人「とにかくいち早くストレスを減らすこと」が大切だと理解し、正社員で勤めていた会社を退職しました。
実は弱っていた隙につけこまれ、マルチ商法に騙されたという裏話もあるのですが…それはまた別の記事で。まあ騙されたことはともかく、結果として正社員に執着せず、働き方を見直すきっかけになったことは感謝しています。
健康保険を利用して、休職中にも給料がもらえた
毎日9時〜21時、かえって寝たら会社にいき土日を泥のように眠る生活は身体的に本当にきつかった、我慢の限界だったのでしょう。「病気でいきなり働けなくなった」ため、会社を退職したあとも今までの給与の2/3をもらうことができました。健康保険の種類によるのですが、これは退職してからも申請ができ、最長約1年半にわたり貰うことができます。書類の審査が厳しいので具体的な貰い方についてはコチラの記事(【傷病手当金とは】休職中でも給与がもらえるって知っていますか)に記載しております。
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心療内科の先生との出会い
心療内科は最初にいったところがあまりに適当でしたので、「きちんと治す」ことを決めてから、口コミを調べ直して、評判の良い近所の病院へ変えました。変えたさきの先生は、
- 薬物治療 (くすりで不安物質をコントロールする)
- 認知療法(怖くないことを身体に認識させる)
といった治療の内容もきちんと説明してくれて、自分の意向をきちんと聞いてくれました。何週間か悩みましたが、メリットデメリットを考えて薬物治療を選びました。相性って大事なんです、だって先生が信じられないと治るものも治らない。いまの先生は小さな不安にも耳を傾けてくれるので、安心してお任せすることができています。
10ヶ月目の症状と経過
- 予期不安が減ったきた
- パニック発作は2018年5月以来飲んでいない
- 心が少しずつ落ち着いてきた
- 閉鎖空間(快速、エレベーター)はまだ怖い
薬はまだマックス値で飲んでいるのですが、そのおかげが症状自体はだいぶ軽減しました。無理せずとも仕事はできていますし、「死ぬかもしれない」という恐怖からは解放されました。
1年10ヶ月後の症状と経過
10ヶ月時は順調なように思えていた経過ですが、
- 抑鬱を併発
- 薬は相変わらずマックス値
- 些細な言葉で心がズタズタになり、抗不安剤を服用
- (記事:うつ病でひたすら寝る毎日に, ひとの言葉がグサグサ刺さる)
と、まさかの悪化をみてしまいました…。一時期は常に泣いているような状態で、それでも社会と断絶する不安のがまさり、週3でなんとかいっている状態でした。いまはカウンセリング治療を並行しておこない、夜は意識が途切れるように眠り、朝は死に物狂いで起きて会社にいっています。
お恥ずかしいことにパワハラやマルチ商法の洗脳などいろいろ重なったせいか、自分がどう行動したらいいのか、人に「何を言っていいのか」「何を言っていけないのか」わけがわからなくなってしまい、丁寧に自分のなかのこんがらがりをカウンセリングの先生と紐解いていっているところです。
パニック障害は、「心ではなく、脳機能に所以する病気」
また周りに患っていることを言いたくないのは、「弱いと思われたくない」という気持ちがあるからだと思います。必死で仕事をやってきた、爆速で何年も築き上げてきたキャリアの先に待っていたのがこの日常..というのがとんでもなく遣る瀬無い。パニック障害は過度なストレスを受けることによって、脳内にある不安物質の放出が上手にできなくなる、という身体の機能面の病気。
ただいえなかった、いわなかった、人との諍いはできるだけ避けてきた。でも思うように動けない、どう言葉を出していいかわからない。「メンヘラじゃね」「社会人としてどうなの」と言われて、でも言い返せなくて、そんなことを繰り返して抑鬱を患いました。病気を患ったことはとても苦しいことですが、こういった言葉を受けるのも、本当に切なく悲しいことでした。
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あとがきにかえて
この記事ではパニック障害のリアルや、治療の経過など発症者のリアルな日常を生々しくご紹介しました。他の病気で苦しんでいる人もいるわけで、気軽に「死」というキーワードは出したくないのですが、あえていうなら、パニック発作は「死にたいほど辛いのに死ねない」ような恐怖感です。あるひとが「生きたまま棺桶に閉じ込められる感覚」といっていました。暗い闇が襲ってきて、目の前が真っ暗になり、呼吸が苦しくなり「もしかしたらこのまま死んでしまうかもしれない」というような恐怖に襲われる。
おそらく言えなくて、でも一生懸命元の生活に戻りたくて、言いたいことを心に秘めて、奮闘しているひとがたくさんおられるのだとおもいます。いまの唯一の希望は、周りでそれらを克服したひとが「前より生きやすくなった」といい笑顔をしていることです。病気と闘っている事実は消えないけれど、「自分が心身ともに健康に生きていくための、修行期間なんだな」とおもって日々を一生懸命生きています。もし周りに苦しんでいる方がいらしたら、そういった病気があるという事実だけでも、知っていただければ本当に嬉しいです。何もしなくていい、何も言わなくてもいい、でもそれが誰かを救うこともあるのです。最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。
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