働き方改革、みなさんどう捉えていますでしょうか。色々な本を読んで思うのは、これはただ単に「効率よく働こう、残業をなくそう」ってことではないということ。背景にもっと黒く怖いものが眠っている気がしてならないのです。この記事では、働き方で20代〜30代が受ける影響と、この時代を生き抜くために必要な力をまとめました。
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働き方改革は、果たしてサラリーマンの味方なのか
長時間労働の慣行を断ち切ります。
ワークライフバランスを確保し、誰もが働きやすい環境を整えてまいります。
これは2018年1月、阿部総理の記者会見の一部です。その後残業が厳しく取り締まられるようになったり、副業が解禁されたりと、徐々に浸透をみせる「働き方改革」。これだけきくとまるで「過労をなくそう、仕事だけじゃないんだ、もっと自由に生きよう」というポジティブなものにもみえますが、果たして本当にそうなのでしょうか。
今まで締め付けがきつかった分「自由にしていい」といわれると、「どうしていいかわからなくなる」人も多いのではないでしょうか。
働き方改革って、簡単に言うとこういうこと
ちなみに働き方改革とは『働く人のいろいろな事情を踏まえ、人々が充実した職業生活をおくるために考えられた施策』のことです。具体的には、
- 労働時間の短縮と労働条件の改善
- 雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
- 多様な就業形態の普及
- 仕事と生活(育児、介護、治療)の両立
こういったポイントを見直していくこと。
政府から会社へ見直すよう指示がでており、各社がちょうど動き出しているところですね。
(政府広報ホームページより引用 https://www.gov-online.go.jp/cam/hatarakikata/about/)
「正社員の価値」が変わっていく
2020年には、”派遣改正法” が施行されます。どういうものかというと、
- 派遣先正社員と派遣社員の賃金を同一レベルに
- 正社員と同じ仕事をしている非正規社員は、正社員と同じ待遇に
わかりやすいところでいうと、「交通費」なども支給されるようになります。企業としても「フルタイムで働く正社員」を抱えきれなくなっているので、「短時間」コスパよく働いてくれる契約・派遣社員を上手に取り入れていきたいという目論見もあるのかもしれませんね。
- 足りない部分は副業で補ってね
- そしてそこで「自分で生き抜く力もつけてね」
という意味でも「副業」を推進している、ともとれます。
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シビアな現実、働き方改革の裏の顔
副業が推進されている背景には、『終身雇用制度の崩壊』と『少子高齢化』があります。なぜ企業が副業をあえて推進するのか。会社が正社員を雇って「週5日の給料+残業代」を払う、その体力がなくなってきているのです。
牙を剝く少子高齢化と、時代の波
少子高齢化といいますが、数字を見るとさらに背筋がひやっとするような事実がわかります。「日本の将来推計人口(2017年)」によりますと、2015年時点で1億2,700万人いた日本の人口は、40年後には9,000人を下回り、100年後には約5,060人にまで”急減”するといわれているのです。具体的に若者の負担を図にしてみるとこんな感じ… 「超・高齢者大国」といわれるのも頷けますね..
正社員で定年まで勤め上げるは、もはや夢の世界 ?
経済産業省の試算によると、男性で「正社員になり定年まで勤め上げる」人は1950年代生まれでは34%いたのに対し、1980年代生まれでは27%にまで減っています。
また女性の場合「結婚して、出産して、添い遂げる」という人は、1950年代には81%いたのに対し、1980年代生まれでは58%に減少しているそうです。
働き方って聞こえはいいけれど
働き方改革って聞こえはいいですが、結局のところ『どんな状況になっても、生きれるように、今のうちに稼ぐ力を身につけてね』というのが政府の本音であり、「この先どうなってもいいように長寿化時代へ適応できるように、準備してね (ひとつの会社にしがみついていては危険だよ)」という警鐘にも似ているんですね。
参考:内閣府HP https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/meeting/senryaku2nd_sakutei/h31-04-22-shiryou3.pdf)
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具体的に若者はどんな受ける影響を受けるのか
まず、言われているのは、
- 寿命が100歳に延びる
- 老後のために2千万円の資金が必要 (一部物議を醸しているので、真意は不明..)
- 60歳で引退して、のびのび、なんて縮図はもうない
これから20 年のうちに、企業の平均寿命が 20 年を割り込むといわれています。また「いま先進国で生まれる子供は、50%を上回る確率で105歳以上生きる」といわれています。(※ちなみに平均寿命と健康寿命の差は依然10歳近くあり、この期間はいわゆる介護等が必要となるともいわれている)
これらを簡単にまとめると、これからは70歳を超えても働くのが当たり前の時代になっていくということです。考えるべきは「今の仕事がなくなったら、何をして生きていくか」でしょう。
絶対必要、老後資金をみんなどう確保するのか
「仕事2.0」という本のなかに、老後資金を確保するための具体的な選択肢が示されていました。
- 定年までに貯金する
- 資産運用する
- 老後生活のコストを下げる
- 現役時の生活コスト(支出)を下げる
- 現役期間を伸ばす
結論をいってしまうと、いまから老後に備える上で、いちばん重要かつ現実的なのは「現役期間を伸ばす」だという話しです。労働人口の現象に伴い人手不足も深刻し、高齢者の働き口も増えていくことが予想されますが、時代を楽観視せず、「出来るだけの備え」をしておきなさいというのが本書の核です。簡単にいうと「貯金だけしていては、とんでもないことになりかねない」ってことですね。
100年時代に絶対に身につけるべき、3つの要素
大ヒットした「LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 100年時代の人生戦略」の著者、グラットン氏は人生100年時代を生き抜くために「3つの無形資産」が必要だと提唱しています。その3つとは
- 生産性資産 (スキルや知識など、所得を増やすのに役立つ要素)
- 活力資産 (肉定期、精神的な健康と幸福のこと)
- 変身資産(変化に柔軟に対応できる力)
です。というのも、これまで「勉強、仕事、余生」という3ステージで成り立っていた人生が、これからは大幅に変わっていくのです。なので
- 「人生の一定期間仕事をして、あとは遊ぶ」という縮図は成り立たず
- これからは、「遊びながら稼ぎながら、上手に自分の人生をコントロールしていく」
ことが必要になるのです。
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まとめ
というわけで、働き方改革とはつまりどういうことなのか、
- 働き方改革は「過労をなくそう、もっと人々を楽にしよう」という単純なものじゃない
- その背景には止まらぬ超高齢化社会があり、
- 政府や企業が「人々の生活」を保証するのにも限界がきている
- 長寿社会に備えて「自分で生きていく力」を身につけてほしいという思惑のもと、
- 残業対策や、副業解禁など、「学べる時間」を作れるようにしている
- 貯金だけでは到底間に合わないので、
- 60以降も「働き続けること」を想定し備えていくこと
- スキルを持ち、健康であり、柔軟に対応できる力を身に着けること
でした。
あとがきにかえて
いままでは企業につとめれば、「そこで生きていくのに必要な力」をごっそりパッケージのように得られたのですが、最近ではそれがバラ売りされて、社会のそこかしこに散らばっているというイメージでしょうか。ただ能動的に動く人はチャンスを掴みやすくなっている、ともいい変えられますね。
無知ほど怖いものはないです。そして「人生がつまらない」と感じている時って、だいたい自分が受け身になっているときだったりします。なくなる職業がある一方で、新しく生み出される職業もたくさんあります。もし「このままじゃなんか不安だな」と感じたら、ぜひなにか「学ぶ」という選択肢をとってみてはいかがでしょうか。知識こそ、人間の最大の財産ですから。
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