安価なのにクオリティの高さが評判をよぶユニクロ、人気スポーツブランドを展開するゴールドウィン社、LOWRYS FARMなど女子に人気のファッションを展開するアダストリア社。本社勤務になるのは、ほんの一部という狭き門だけど、「バイトではいって本社で働く」ってほんとうに幸せなのか。実際にアパレルの本社で2年間勤めた私が、本社勤務の楽しさ辛さ、リアルな5つを告白します。
スポンサーリンク
① 普通では得られない、お洒落なオフィス生活
お洒落なオフィス、セキュリティが万全の高層階をヒールでカツカツと歩いていく。デザイナールームでは、想像力豊かな品々の試作品が並び、時に試着させてもらい。常に色とりどりの私服に溢れている。そこかしこにソファや、椅子、机があり、色々な人とコミュニケーションを取りながら、自分のお気に入りの場所で仕事ができるのも魅力のひとつです。
なぜそんなオシャレかといいますと、「働き方 (オフィスを含む) がオシャレであること」もまたブランド力向上のひとつの要素、会社にとってはこれもまた投資のひとつなのですね。アパレル本社では東京のお洒落なオフィス生活を満喫できます。(3ヶ月ほどで慣れてしまうのですが…)
② 良い意味でも、悪い意味でも、店舗ファースト
しかしですね、良いところばかりではありません。採用時「土日祝日休み」となっていても、会社が店舗に力をいれるのは、どこも土日か年末年始などの大型連休です。そのため本社勤務であっても (中途入社で店舗経験がなくても)、休日には半強制で店舗ヘルプにいかされることがあるのです。
自身携わっていたのは生産管理なので、年末と旧正月は大騒ぎ。年始休み明けの欠品を出さないよう工場と綿密に連携をとって、確実に商品を納品していかなければなりません。しかしそういった事情は人事には加味してもらえず、「(店舗にだけしわ寄せがいくのは避けたいから)平日休んででもいってね」何度もヘルプにいきました。もちろん輸入を止めたら、全国で欠品が起きるので休日返上で、なんとか休めたとしても、 家から遠隔で仕事です…
スポンサーリンク
③ 本社配属の中途は威張ってる?いやいや、むしろ真逆ですよ
本社の人は威張っている、という誤解があるようなのですが、中途で本社配属になった人からみるとむしろ真逆なのです。そもそもどんな人が中途ではいるのかといいますと、
- 商品企画
- 生産管理 (海外工場の管理、バイヤー、品質管理 etc)
- IT / 技術関連
- ロジスティクス関連
- 経営戦略 (新規事業の立ち上げetc..)
- 総務や人事などの管理業務
などのスペシャリスト、小売業界は初めてという人も多いです。なので「新卒や店舗で泥臭く頑張って、社内でキャリアを積んで本社へ異動した人」とはまた感覚が違ったりします。もちろん自身も一生懸命日本へ運んだ商品を、お客様が喜んでくれる姿は嬉しいものですが….
自分の仕事が終わらないなか「店舗ヘルプ」にいき「本社の人に来られても」と冷たくあしらわれるのは、とても辛いものでした。(向こうにしたら、この忙しいときに…と思われていたことだろう....)
④ 店舗から本社へきても、馴染めず戻っていくケースも
またですね、先ほどとま逆のケースもあります。希望通りに店舗から本社へ異動になっても、「デスクワーク」があわず、無理をして精神的なダメージを負ってしまう。店舗に戻ろうとしてもポジションがなく (店長は他の人に変わっていた) 、結果的に減給となるといったケースもみてきました。
というのも、そもそも店舗と本社では、仕事のやり方が違うのです。店舗ではコミュニケーションや対応力などの現場力が求められます。本社では、くわえて「全体像をみて、必要なことを抽出し、長期的に仕事を組み立て、毎日確実にこなしていく」必要があります。それに比べてこういった専門職は経験が物をいうのでただでさえ、未経験者ははいりにくい分野なので、あわない部署に配属された場合はあたり風の強いこと、強いこと….。逆にそこで自分の新たな得意分野に気が付いて覚醒していく人ももちろんいます。(店長業務から一転、経理にチャレンジしたらめちゃくちゃしっくりきてバリバリ働いている子もいました)
スポンサーリンク
⑤ なぜ辞めたのか、小売特有の体育会系なノリに馴染めなかった
私は海外取引経験を武器として、アパレルにはいりました。いまはもう転職していて、IT関連の会社で社内通訳・翻訳に従事しています。なぜ辞めたのか、小売特有の文化にどうしても馴染めなかったのです。
- 店舗出身者同士の会話についてけなかった
- 私は全く違う分野を面白いとおもって進んできたため、
- それを分かり合えないことも孤独感を感じた
- 会社だいすき!といった熱い雰囲気についてけなかった
B to B(対会社) の仕事ばかりしてきた私にとっては、小売のオフィスは異世界。色んなプロジェクトを起こしたり、やり甲斐は確かにあったのですが、孤独感もありましたし、「皆のように会社を愛せない」し、そんなみんなをみていて「もっと自分の分野」を極めていきたいと思うようになったのですね。
アパレルの本社で働いて、得たもの
これは数え切れないくらいあるので、箇条書きで…
- 商品が企画され、お店に並ぶまでのフローを学ぶことができた
- 得意分野以外にふれる機会があり、たくさんの刺激をえた
- 自分の仕事(生産管理)が、具体的に他の仕事にどう影響するのか見ることができた
- 自分が携わった商品が顧客に大きな影響を及ぼしてることを、日々感じることができた
いちばんは、デザイナーと企画、経営管理、経理 etc..色々な部署との調整業務ができて、コニュニケーション能力があがったこと。ときには取引先より、社内の上司に納得してもらう方が難しかったりします。アパレル(小売)のノウハウや、慣習を知らないがために、他部署からときに、痛い言葉や、お叱りの言葉をいただいたのも、大きな成長の糧となりました。「乗り越えた壁はやがて自分を守る砦になる」ってホントです。
スポンサーリンク
あとがきにかえて
というわけで、アパレルの本社で勤めて知ったリアル5つ、
- 普通の会社では得られない、お洒落な会社生活ができる (残業アリアリ)
- 良い意味でも、悪い意味でも、店舗ファースト (ときたま店舗へ休日出勤)
- 店舗あがりの社員と、中途入社の目に見えない亀裂
- 希望通り本社に配属となっても、馴染めず戻っていくケースも
- 体育会系、あうかあわないかはその人次第
でした。「店舗でキャリアを積んできたプライド」と、「本社で即戦力採用され人たちの、経験に付随するプライド」、どっちに上も下もないんですよね。フィールドが違うだけに、なかなかお互いの努力やスキルをわかることができず、尊重しあえない。それが本社で感じたいちばん遣る瀬無いところでした。
ただ自分なりにやり尽くせたこと、次の飛躍に大きく繋がったことにはとても感謝をしています。アパレルの志望動機に迷っている方、本社勤務になりたいとひそかに考えている方、こういった一面もぜひあることを知っていただき、良い意味で、何かの参考に、後押しになれたら幸いでございます。
スポンサーリンク
コメント